神戸地方裁判所 昭和63年(わ)451号 判決
本籍
兵庫県神崎郡市川町小室一五〇番地
住居
兵庫県姫路市飾磨区山崎二二四番地の二一
土木工事用機械リース及び販売業
福田和彦
昭和一六年七月二一日生
本籍
兵庫県神崎郡市川町小室一五〇番地
住居
兵庫県姫路市飾磨区山崎二二四番地の二一
土木工事用機械リース及び販売業手伝い
福田貴代美
昭和二〇年一〇月二三日生
右両名に対する各所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官高橋勝出席のうえ、審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人福田和彦を罰金七、五〇〇万円に、被告人福田貴代美を懲役一年四月に処する。
被告人福田和彦においてその罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。
被告人福田貴代美に対し、本裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人福田和彦は、兵庫県姫路市飾磨区山崎台二番地において「フクエイ機械」の名称で土木工事用機械リース及び販売業等を営むとともに有価証券の売買等を行っていたもの、被告人福田貴代美は、右フクエイ機械の経理事務全般を統括するとともに、被告人福田和彦から右被告人の資産運用等を任されていたものであるが、被告人福田貴代美は被告人福田和彦の業務に関し、その所得税を免れようと企て、継続して有価証券を売買したことによる所得のすべてを除外するほか、事業による所得の一部を除外する方法などにより所得の一部を秘匿したうえ、
第一 昭和五九年分の実際の総所得金額は一億八、八一八万四、一七三円で、これに対する所得税額は一億一、七五九万二、四〇〇円であるにもかかわらず、同六〇年三月一五日、兵庫県姫路市北条字中道二五〇番地所在の所轄姫路税務署において、同税務署長に対し、同五九年分の総所得金額が四五二万九、六〇九円で、これに対する所得税額が三六万七、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額一億一、七五九万二、四〇〇円との差額一億一、七二二万四、九〇〇円を免れ
第二 昭和六〇年分の実際の総所得金額は二億五、二五九万八、〇一〇円で、これに対する所得税額は一億六、二九五万六〇〇円であるにもかかわらず、同六一年三月一五日、前記姫路税務署において、同税務署長に対し、同六〇年分の総所得金額が四九一万三、二〇四円で、これに対する所得税額が三九万九、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額一億六、二九五万六〇〇円との差額一億六、二五五万八〇〇円を免れ、
第三 昭和六一年分の実際の総所得金額は二億八五〇万九、〇三九円で、これに対する所得税額は一億二、九九七万四、八〇〇円であるにもかかわらず、同六二年三月一六日、前記姫路税務署において、同税務署長に対し、同六一年分の総所得金額が五〇〇万三、四五六円で、これに対する所得税額が四二万九、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額一億二、九九七万四、八〇〇円との差額一億二、九五四万五、八〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人両名の当公判廷における各供述
一 被告人福田和彦の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書(一一通)
一 被告人福田貴代美の検察官に対する供述調書(三通)及び大蔵事務官に対する質問てん末書(一八通)
一 橋本智美の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書
一 本種きよ子の大蔵事務官に対する質問てん末書
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料
一 大蔵事務官作成の各査察官調査書(検甲8号ないし19号、21号ないし41号、44号ないし50号)
判示第一、第二の事実につき
一 大蔵事務官作成の査察官調査書(検甲52号)
判示第一、第三の事実につき
一 大蔵事務官作成の査察官調査書(検甲53号)
判示第一の事実につき
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲1号)
一 昭和五九年分所得税確定申告書謄本
判示第二、第三の事実につき
一 大蔵事務官作成の査察官調査書(検甲20号)
判示第二の事実につき
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲2号)
一 大蔵事務官作成の査察官調査書(検甲42号、51号)
一 昭和六〇年分所得税確定申告書謄本
判示第三の事実につき
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲3号)
一 大蔵事務官作成の査察官調査書(検甲43号)
一 昭和六一年分所得税確定申告書謄本
(法令の適用)
被告人福田和彦について
一 判示各所為 いずれも所得税法二四四条一項、二三八条
一 併合罪 刑法四五条前段、四八条二項
一 労役場留置 刑法一八条
被告人福田貴代美について
一 判示各所為 いずれも所得税法二四四条一項、二三八条一項
一 刑の選択(判示各所為につき)
いずれも懲役刑選択
一 併合罪 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)
一 執行猶予 刑法二五条一項
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 東尾龍一)